恐怖 DUSTER

「私もみんなとは、別れたくないけど・・・私は、みんなからは特別な存在に見られているから・・・」


麻美らの思いを、恵子は感じ取っていたのである。


「だからね・・・私はいないほうがいいと思うのよ・・・」


「そんなこと無い!そんなこと無いよ!」


「そう、思ってくれるのは弥生だけ・・・だから私の秘密を、弥生だけには聞いてもらいたかったの・・・」


「そ、そんなこと・・・」


恵子は手を弥生の口にあて、弥生の言葉を止めた。


「・・・いいの・・・もう、いいのよ・・・麻美のおかげで私の子どもたちの面影のあるみんなにも会えたし、その子達が仲良くいてくれるだけで私は嬉しいの・・・」


「本当はね・・・私もこのまま、みんなと一緒に友達として生きていければと思ったけど・・・それは許されない事なのよ・・・」


「・・・許されない・・・?」


「そう、許されないのよ・・・私は人としての自然の摂理に反して生き続けているでしょ?・・・それだけじゃなく、私と接したことで弥生たちまでも自然の摂理に反するようになってしまった・・・」


「・・・私達の心の入れ替わりのこと・・・?」


無言で恵子はうなづいた。


「私はね、麻美が自分と同じ境遇の、みんなの心を入れ替えたことには何も言えない、私も同じ事をしているからね。・・・でも、消されてしまったみんなの心も私にとっては大切な友達であり、私の子供たちの面影のある大切な子なのよ・・・」


消してしまった前の弥生の心に、自責の念がある弥生にとっても恵子の言葉は心に突き刺さった。


「私は、お菊ちゃんの子の面影のある麻美の行動を黙認して、その子らを見捨ててしまった・・・お菊ちゃんの子を見捨てたように・・・」

「そ、それなら私達も同じ罪じゃない?」


恵子は無言で首を横に振り、弥生の言葉を否定した。


「それは違うわ、弥生たちは自身の心を主張して入れ替わっただけのこと・・・本人が消えてしまった訳では無いんだし・・・でも、私はみんなが入れ替わられ消えてしまうことを知っていながら普段と変わらず笑顔で接しながら見てみぬふりをしていた・・・」



「・・・それは許されない罪なのよ・・・」