恐怖 DUSTER

恵子が麻美に対する思いの深さを知り、弥生はほんの少し恵子の心情を理解できたと思った。

「でも恵子。麻美は麻美であって、その子じゃないんだからきっと大丈夫よ」


「・・・大丈夫?・・・なにが?」


恵子は、弥生の言葉が理解できなかった。


「えっ!え~と・・・とにかく大丈夫よ!麻美とも仲良くなれるから」

自身の答えをうまく表現できず、感じたままを言う弥生であった。


恵子は、きょとんとしながら答えた。


「麻美と仲良くって・・・私、麻美とは別に仲が悪いとかは無いわよ、弥生の記憶にもあるでしょ?」

弥生も自分の記憶の中の麻美と恵子の関係は悪くは無い事は理解しているのだが、それでも言わずにはいられなかった。


「解ってる!・・・解っているけど、もっと麻美と仲良くなれるから絶対に!」


力強くそう宣言する弥生の表情に、恵子は笑いが込み上げてきて噴出してしまった。


突然の恵子の笑いに戸惑いながら弥生が言う。


「ちょ!ちょっと。ここは笑うとこじゃないと思うんだけど・・・」


恵子は、笑いをこらえながら弥生に答えた。


「ご、ごめん。そうだね、笑うとこじゃないよね♪」


そう言いながら、恵子は弥生の手をとり優しい表情で言った。


「弥生がいれば大丈夫だね・・・麻美もみんなも・・・」


「・・・私が?」


「そう、弥生がいれば、私がいなくなった後も、みんな仲良くいてくれる」


「えっ?」


驚く弥生に、恵子は少し呆れた表情になる。


「ちょっと、前に言ったでしょ?私は、誕生日が来たら新しい子と入れ替わるって」


「あっ!」


恵子の言葉を思い出し戸惑いの表情を弥生は見せた。


「もうすぐ、みんなとはお別れだけど、弥生がいるから私は安心していられるわ」


弥生は慌てて、恵子に問いかけた。


「どうしても、別れなければいけないの?」