恐怖 ＤＵＳＴＥＲ

「皆が私の子孫だと思う、もう一つの根拠があるのよ」


「根拠・・・それは、なに？」


「長い居年月を生きてきた中で、私が生んだ子供は全部で五人なのね、そして最後に生んだ子の後は、二度と子供を生まないと私は誓ったのよ・・・」


「二度と生まない・・・どうして？」


「だって・・・入れ替わるたびに、その子達と別れなければならないんだもの、あれは本当に辛いことだから・・・」


恵子の表情が途端に暗くなり、悲しみの表情に満ちていく。


その恵子の表情の変化に、弥生は慌てて問いかけた。


「ねぇ？私達は、その恵子の五人の子の面影があるの？・・・私も？」


今にも泣きそうであった恵子の表情が、弥生の言葉に明るくなっていった。


「うん、みんな面影があるよ♪・・・弥生はね、最後の子に考え方も行動もそっくりなの･･･あの子はね、私が頭をなでると嬉しそうに笑ってくれたのよ・・・」


そう言うと、恵子は弥生の頭を優しくなでていく。


その恵子の手のぬくもりに、弥生は心地よく癒されていくのであった。



「あの子との別れは、本当に辛かった・・・ううん、あの子だけじゃない五人の子全員との別れは全て辛かった・・・」


恵子の言葉には、母親の慈愛の念がこもっていた。


「みんなは、どんな子供だったの・・・」


まるで催眠術にかかっているように弥生はまどろみながら問いかけた。


「弥生と里美に面影のあった子は、おとなしく素直で優しい女の子達だったわ・・・」


「裕子に面影のあった子は、とても勝気で明るい子だっのよ・・・」


そう言うと、くすりと恵子は笑った。


「何が可笑しいの・・・？」


「だって、本当に今のあなた達にそっくりなんですもの」


目の前の恵子が、自分よりはるかに大人の女性に弥生は感じていく。

「でも、麻美と千恵に面影がある子らは、男の子だったけど性格はそっくりなのよ」


麻美と千恵に面影があった子が男の子であることには、少し違和感を感じる弥生であった。