恐怖 ＤＵＳＴＥＲ

「・・・私達が恵子の子供・・・？」


唖然としている弥生の表情を、恵子は楽しそうに見つめながら言う。


「正確に言うと、私の子孫てことかな・・・」


「子孫・・・！」


再び恵子の言葉に驚いていた弥生であったが、すぐに恵子の言葉の意味を理解した。


「そうか！・・・恵子は長い年月をたくさんの人達と入れ替わりながら生きて来たんだよね、私達が恵子の子孫である事もありえない話ではないのかも・・・？」



「私は、そうなんだと思っているわ！・・・だって、みんなどこか私が産んだ子らの面影があるんだもの・・・」



今現在同世代である恵子の口から、多くの子を産んだ母親の言葉を聞かされて少し違和感を感じる弥生であった。



「・・・でも、そうだとしてもそれが恵子の能力を麻美が・・・私達が受け継いでいる事になるのかな・・・？」




「弥生は、隔世遺伝て言葉を知っている・・・？」



「・・・隔世遺伝？・・・ううん、知らない？」



予測できない恵子の言葉に、弥生は戸惑うばかりである。



「隔世遺伝というのはね？時代をへだてて、生物のある特質が一代またわ数代をへだてて現れる遺伝の事をいうのよ。私が持つ入れ替わりの特質が麻美たち皆に遺伝したんだと私は思っている」




隔世遺伝という言葉に、弥生は恵子の言う事が正しいのではないかと思えてくる。
そうでなければ、麻美の入れ替わりに対する実行力や、今日弥生自身が経験した事の答えが出ないのだから。


・・・それにしても、恵子が私達の御先祖様て・・・



屈託の無い笑顔を自分に向ける少女の姿の恵子を見ると、いまひとつ実感できずにいる弥生であった。