恐怖 DUSTER

「・・・でも、どうして麻美は、入れ替わる能力があったのかな・・・?」


弥生の言葉に、呆れたように恵子が言った。


「なに言ってんのよ!忘れたの?弥生も今日入れ替わったんだよ」


恵子にそう指摘され、弥生は我に返った。


・・・そう言われればそうだ。自分も麻美と同じ能力を持っている・・・


自分だけじゃなく、千恵や里美にも・・・そして恐らく裕子も入れ替わる能力があるのであろう、そうでなければ麻美が友人になるために接触する事は無いだろうから・・・


弥生の中にある疑問が大きくなってく。


「ねぇ、入れ替わる事は、誰にでもできることなの?」



少し考えた後、恵子は首を振りながら言う。



「私は長い間いろんな人達と入れ替わってきたけど、自分自身とはいえ私以外の人が入れ替わる事なんて、一人も見た事は無かったわ」



「一人も・・・?」



「ええ、ただの一人もね。麻美たちが初めての事よ」



弥生は自分の思考が、ますます疑問という糸に複雑に絡めとられていくような感覚になって行った。


そんな弥生の表情を見つめながら恵子が優しく言った。


「私ね、なんとなくだけど、麻美たち皆が入れ替わる能力を持っている事が解るような気がするのよ・・・?」


恵子の言葉に驚く弥生。


「なに?なんで解るの?」


「・・・もしかしたらね?・・・みんなは・・・」


またも言葉を出し惜しみするのかと、弥生は少しうんざりした表情を見せる。


そんな弥生の気持ちが伝わったのか、恵子はすぐに話し始める。



「・・・麻美も・・・弥生も・・・千恵も・・・里美も・・・裕子も・・・」



「・・・みんな、私の子供なんじゃないかと思うのよ・・・」



「へっ?」



予想だにしなかった恵子の言葉に、複雑な疑問の糸に絡められていた弥生の思考は、複雑な疑問の糸に変わって、複雑な疑問のクサリに絡めとられていくのであった。