恐怖 DUSTER

「それからしばらくしたある日の朝に、麻美が突然私の病室を訪れて来たのよ」


「朝に・・・?」


「そう、朝にね。私は何事かと戸惑ったわ!だってそうじゃない、表の麻美は全然私と会話をしない子だったんだから」


・・・その麻美が尋ねてきた・・・何しに・・・?


弥生の思考の中で、その後の展開を知りたいという思いが強くなっていく。



「麻美は、なぜか私に向かって微笑みながら近寄ってきたのよ、普段は
私になんの関心も無く無表情なのに・・・」



またもや恵子は、意味深な笑いを弥生に向けて言葉を止めた。



「もう、また・・・」話の続きが気になる弥生は、恵子に訴えるように見つめた。


恵子は、弥生と視線を合わせ微笑みながら話を続けた。


「近寄ってきた麻美が、いきなり私の耳元にささやいたの・・・」



「初めまして・・・今日からはいつでも話ができるよ♪」てね・・・


初めましての言葉に、弥生は驚き理解した。



「麻美は、その晩に入れ替わったんだ!」



「そう、私も驚いたわ!麻美が入れ替わったなんてね。入れ替わる事が私以外の者にもできるなんて思いもしなかったから・・・」



おそらく麻美は、恵子から入れ替わりについての情報をたくさん収集していき、自身も入れ替わる事に全てをかけたのであろう・・・



・・・そして見事に入れ替わった・・・



今日、弥生がおこなった恐怖による人格崩壊と心の解放による入れ替わりを成功へと導いたのだ。


しかし、麻美の思いはそれだけには留まらず、自分と同じ境遇の者達らと接触して友達となり、そしてその者達の心も入れ替わらせた。



恵子の尋常でない他人へと入れ替わる能力も凄いが、麻美の用意周到さも凄いものだと弥生は感心するのであった。