恐怖 DUSTER

「結局お城は敵に落とされてしまって大勢の人達が死んでしまったけど、お菊ちゃんに入れ替わった私は運良く生き残ったのね。そして新しいお殿様に許されて、お菊ちゃんのお父さんと一緒に生まれ育った村に帰る事ができたの」


「それからの、私の人生は大きく変わったわ・・・」


「お菊ちゃんとして幸せに生きていったのよ・・・」


「村の誰からも愛され、幸せな結婚もした・・・その時は隣村の人達までも祝ってくれたのよ♪」


「そして、子供も生んだわ。お菊ちゃんの面影がある男の子をね・・・」


「・・・私は、本当に幸せだった・・・」


「お菊ちゃんとして生きたあの日々は・・・」




「・・・でも・・・」



「・・・でもね・・・」



「一つだけ絶えられない事があったの・・・」



「年月が過ぎていくたびに、お菊ちゃんの体はどんどん醜くなっていくのよ・・・」



「あんなに綺麗だった、お菊ちゃんが!」



「・・・に、人間だもの、当然じゃない?」


「そんなのダメ!絶対に認めない!」



激しい剣幕で弥生の言葉を否定する恵子の表情には鬼気迫るものがあった。



「み、認めないって言ったって、人間だから美貌や体の衰えどうする事もできないじゃない・・・?」


弥生に諭されるように言われ、落ち込んだ口調で語り続ける恵子。



「・・・そう、どうすることもできなかったの・・・」



「だから、私は決心したの・・・また誰かと入れ替わろうてね・・・」