恐怖 DUSTER

「見えたの・・・」



「えっ?」



麻美の言葉が理解できない、裕子と恵子。



「私にも見えたのよ・・・」



「見えたって何が?」



「弥生に目隠しをしている手が見えたの・・・」



「本当に?」



恵子の問いかけに、無言でうなずく麻美。



「弥生の言っている事は、全部本当の事だと思う。弥生に目隠しをしている者の名前を言わない限り弥生の目は見えないのよ」



麻美は、再び弥生と同じように思い付く女の名前を言い出し始めた。



「麻美、なに言っているのよ?早く先生を読んできてよ」



麻美は、裕子の言葉に反応せず、ひたすら弥生に向かって女の名前を言い続けていた。



「もういい!私が呼んでくる!恵子、弥生を頼むわね」



裕子が、そう言って、その場から離れようとしたら恵子までもが女の名前を言い出し始めた。



「恵子!あんたまで、どうしちゃったのよ」



恵子は、涙で目を真っ赤にしながら裕子に言った。




「何でもいい!弥生の眼が見えるようになるなら何でもする!」



裕子は、唖然として女の名前を呼び続ける三人を無言でみつめていたが、決心したように弥生に向かって思い付く女の名前を言い出し始めた。





しかし、数時間が過ぎても弥生の目隠しの手は、全く離れなかった。



それでも麻美たちは、諦めずにひたすら女の名前を言い続けていくのであった。