恐怖 DUSTER

恵子は、そんな弥生の心の微妙な変化を敏感に感じとっていた。


「他の人から見たら、私のしている事はハイエナのように思えて不快に感じるのは当然よね・・・」


「でも・・・でもね。私が入れ替わる事により、その人の家族や友人達は救われたりもするのよ」



「・・・救われる・・・?」



「そうよ、救われるの。私が入れ替わった事で、その人は意識を取り戻した事になり、通常の生活をするということなのだから・・・」



たしかに、入れ替わられた人の家族からしてみれば、その人が元気に回復するということであり、自分達のように入れ替わる相手の心を破滅させる事とは全く違うのだと知り恵子を不快に感じた事を弥生は後悔した。


「なんだか自分の弁明みたいになっちゃったね。話を戻すね?」


「・・・私はね、一番最初の自分であった時は、ある村の貧しい農家の娘だったの」


「今日一日を生き延びるのが精一杯のとても貧しい家だった・・・」


「毎日泥だらけになって畑仕事を手伝わされていたのよ」


「村の子供達からは忌み嫌われて、お菊ちゃん以外は誰も相手にしてくれなかった」


「お菊ちゃん・・・?」


「そう、お菊ちゃん。私の初めての友達・・・」


恵子の言葉には、お菊に対する慈愛が溢れている。


「お菊ちゃんは庄屋様の一人娘でね、いつでも私に優しく接してくれたの」


庄屋という言葉に時代の違いを感じる弥生。


「私ね、いつもお菊ちゃんに憧れてた。お菊ちゃんのようになりたいといつも思っていた・・・」


「・・・でもね、そんなことは無理なのも解っていた・・・」


「お菊ちゃんもね、私の笑顔が可愛いと言ってくれたから、私はいつでもお菊ちゃんの前では笑顔でいたの・・・」


「私は、お菊ちゃんと笑顔で向き合う事が幸せだった・・・」


「・・・でも・・・」


「・・・その幸せが終わる日が訪れたの・・・」