恐怖 DUSTER

恵子は、少し離れて自分達の前を歩く麻美達を物悲しそうに見つめていた。


「弥生だけに話すけど、皆には内緒にしてね・・・?」


弥生は無言でうなずいた。

「私はね、入れ替わり続けて生きているの・・・」

「入れ替わり続ける!」


驚く弥生に、柔らかな微笑を浮かべる恵子。


「恵子に入れ替わる前は、私は別人だったの・・・」


自分の想像を遥かに超える、理解しがたい恵子の言葉に弥生は戸惑い沈黙した。


「驚いた?・・・驚くよね・・・」

「私は・・・みんなと違って、自分自身の心が入れ替わるんじゃなく別の人間の心と入れ替わって生き続けてきたのよ・・・」


「・・・そ、それって、本当のことなの?」


突拍子もない恵子の言葉に、弥生は恵子が自分をからかっているのかもしれないという思いが生まれてきた。

恵子は、真剣な目を弥生に向けてはっきりした言葉で言った。


「嘘じゃないよ、全部本当の事なの。でも・・・麻美たちは、私が何十年と恵子として生きてきたと思っているけどね・・・」


恵子の表情から、この突拍子の無い話しが嘘ではない事を弥生は感じ、そして新しく生まれてきた疑問の言葉を投げかけてみる。


「別人と入れ替わってきたって・・・どれだけの人と?」


そう、弥生に問いかけられ、恵子はニッコリ笑って弥生の求める答えとは違う言葉を言返してきたのである?


「ねぇ?弥生は、私の年はいくつだと思う?」

「えっ!と、年?・・・年って、恵子は13歳でしょ?」

「あっ!で、でも他人と入れ替わってと言っていたから・・・いくつなんだろう・・・?」


弥生は、麻美が入れ替わりに関わる「あの人」が年の離れた人だと言っていた事を、今ここで理解できたのである。


考え込む弥生を見つめながら、恵子は微笑み言った。




「私ね・・・入れ替わったのは、恵子でちょうど100人目なの・・・」