恐怖 DUSTER

麻美は弥生に視線を向け心配そうに見つめていた。

「麻美、大丈夫だから」

弥生は、麻美の不安を軽減させるように微笑んだ。


「ちょっと!麻美も弥生も何をそんなに警戒しているのよ」


「別に弥生を捕って食うわけじゃないんだから!」


「・・・怖い事を言わないでよ・・・」


恵子の言葉に、弥生は不安の表情が顔に出ないようにひきつりながらも笑顔をたもっていた。


しかし、麻美は不安の表情をあからさまに顔に出していて、恵子を睨むように見つめている。


「冗談、冗談だってば!・・・麻美、怖い顔をしないでよ」


なぜか恵子は、幾度となく麻美を挑発するような言葉を口にするのである。


自分がからかわれた事を感じ取り、麻美は不快な表情を見せながら弥生と恵子の先を歩いて行った。


「また、嫌われちゃったかな・・・?」


麻美の後姿を見つめながら寂しそうにつぶやく恵子の表情はとても悲しそうであった。


弥生は、恵子がつぶやいた一言と表情から、恵子に感じている不安感が薄れていくように思えた。


「いつもこうなんだよね、つい麻美の気に触る事を言ってしまう・・・」


「そういえばそうだね。昔から恵子は麻美を挑発する事が多かったよね?」


前の弥生の記憶をたどりながら、弥生は恵子と麻美の事を思い出していた。


「そうなんだよね。ついつい麻美に言わなくてもいい事を言ってしまうのよ・・・」


「ほんと、自分がやんなっちゃう・・・」


そこには、先ほどまで強烈な魔性を発していた事が嘘のように、思春期の少女が友人関係に悩む姿があった。


・・・今の恵子の姿こそ、私の知っている恵子だ・・・


・・・正確に言えば、前の弥生の記憶だけど・・・


「でもね・・・私が麻美の気に触る事を言ってしてしまうのは、弥生のせいなんだよ」


「わ、私のせい!」


唐突に、恵子の麻美に対する複雑な思いの原因が自分だと宣告されて、弥生は驚いた。