オカマとお馬鹿

「もしかして、気付いてないの?」



「オカ、…あなたが痴漢されてたのは知ってましたよ」



「いやね、その被害者は私じゃなくて、あなたなのよ」



微妙な間があいて、私もオカマにも気まずい雰囲気が流れる。



「鞄が当たってたくらいなんですけど…」



ボソリと呟いた私に、オカマがガバッと顔を上げた。



「それ! 鞄じゃなくておっさんの手!」



「でも…」



「そうなのよ!」



強引に押し切られ、何も言えなくなってしまった。