『おはようございます』
「あぁ、野上先生。よろしくお願いしますよ」

ぽんっと私の肩を叩き教頭はその場を去っていった。

【おはようございます、野上先生】

聞き覚えのある声に振り向く。
視線がぶつかり動けなかった。

だって
そこには

『ゆずき…』


なんで
なんで
なんで?

どうして此処にゆずきがいるの?
だって男子高だよ?
じゃ、まさか
ゆずきは―

【感激だな♪莉梨愛ちゃんが担任だなんて】

私に近付き耳打ちしてきた。
左耳が熱くなる。
かぁっと頬が紅くなるのが解った。

なにこれ

『教室はこっちだから』

顔を合わせないように早足で歩く。