『いやだ…行かないでよ』

涙をぽろぽろ溢しながら言えなかった言葉を呟く。離れたくない。

「カレーできたよ」
『うわ!?』
「ったく、自分の世界に入ればまわり見えなくなるんだから」

由宇はいつの間にか帰宅しててカレーは完成していた。香辛料のスパイシーな薫りが濡れた鼻腔を刺激してツンと奥が痛くなった。

「また泣いてたの?よっぽど嬉しかったのね」

ティッシュ箱を受け取り鼻をかむ。

「食べよ?はいビール」
『ありがと…』

すん、と鼻をすすりスプーンを持つ。

『頂きます』
「あっ」

一口食べたら由宇が小さくうめいた。