『今日はイヴかぁ…』

パソコンをいじりながらため息をつく。柚季のパンを食べた後眠れなくてベッドでゴロゴロしていたらいつの間にか朝方になってそれから記憶をなくしてまた昼頃まで寝てしまい、昼食までご馳走になり自宅へと戻ってきたのだ。
ちらりと時計に目をやる。22時ジャスト。
ケーキもシャンパンもないクリスマスを過ごしてるのは私だけじゃないはず…と思いたい。
ビールをぐいっと喉に流し込み椅子から立ち上がる。冷蔵庫に何か食べる物あったはずだよね、と手をかけた瞬間携帯が鳴った。
この着うた柚季だ!!慌てて開き通話ボタンを押す。


【メリークリスマス莉梨愛ちゃん♪これから迎えに行ってもいいかな?】
『メリークリスマス。うんいいよ』

電話を切り何を着ていくか考えながらパソコンの電源を切り、ビールを飲み干し、部屋の片付けを終えベッドの上に服を広げたらチャイムが鳴り響いた。
仕方なく部屋着のまま柚季を迎える。

『ごめんまだ着替えてないの』
【大丈夫。さぁ行こう】
『えっ?このままで?』
【うん。さっ電気消して】

部屋が暗くなり私は手探りでブーツを履き柚季に外へと引っ張り出され、鍵を確認してから階段を降りる。
彼処の犬また吠えてる。よくも毎日飽きずに吠えるよなぁ。

【どうぞ、お姫様】

アパートから少し離れた場所に黒塗りの大きな車がどでん、と置かれている。これってもしかして

『…リムジン?』
【そだよ、さぁ乗って】

ドアを開けエスコートしてくれる柚季。よく見るとタキシード着てる!!
…かっこいいじゃないの。
自分のみすぼらしい格好が恥ずかしくなって早々とリムジンに乗り込んだ。