恋・したい

再び腕時計に目をやり黒板の前へ戻る。

『やめ!後ろから集めて』

ざわざわと騒ぎだす教室。

「わかんなかった~」
「楽勝♪」
「やべぇ!名前書くの忘れた」

プリントを揃えたらちょうどチャイムが鳴った。ナイスタイミングだね♪日直の掛け声で皆立ち上がり礼をする。次の時間は授業ないから資料作ろっと。
職員室へと階段を降りる途中三浦先生とすれ違った。

「野上先生…」

何か話しかけようとしたけど無視。何も階段で会話しなくてもいいじゃない。オバサンの井戸端会議じゃあるまいし。頭悪いんじゃないの?…って人の事言えないか。

【野上先生】

この声が耳に届くたび胸が苦しくなる。

『なんだ?』

柚季が近付いてきたけど少し距離を置いてくれる。私の立場ちゃんと理解してくれてるのね。

【今日昼休みバスケしに行くから屋上行けない代わりに一緒に帰ろうよ】

ひっそりと耳打ち。嬉しいけど決心したもんね。

『柚季とはもう一緒に帰れないから』

柚季の顔も見ずに理科室の前を早足で通りすぎる。
胸がズキン、ズキンと泣いている…