「ゆきが居てくれたから、俺…」 そこまで言うと、朔良ははっとしたように俺を見つめた。 「さく…?」 「あの、ね」 一音一音を噛みしめて、朔良の唇が言葉を紡ぐ。 「俺、ね……んと、ゆき」 朔良の言いたいことはわかる。 朔良の瞳の中の俺が小さく微笑んで口を開いた。 「―――朔良、好き」 これはたぶん、言い淀んだ朔良の言葉の続きと同じだと思う。 いつからかは分からないけど、俺は朔良を好きだった。言わなかっただけで。