触れたい。 先生に触れたい。 俺の足は勝手に進んだ―――でもどこか、アタマの隅では理解していた。 これは、俺の本当の気持ち。 「律稀…?」 依然窓を閉めようとする様子のない俺を先生が呼んだ。 「先生」 オレンジ色が零れそうな空の裾には少し藍が差している。 「……ん?」 開け放たれた窓から一際強い風が飛び込んだ。机上の書類が勢いよく舞い上がった。 「どうする?」