「びっくりするかなーと思って被ってたんだよね。そしたら睦月…案の定」 そりゃあ先輩の耳が猫耳んなってりゃビビるよなー、と明衣さん。 「すんません……」 「謝んなくていーよ、ムツ」 未セットの俺の頭をガシガシと撫でてから、明衣さんはさっと立ち上がった。 「…んじゃ、帰るわ」 バイクの鍵をくるくると回しながら、ドアへ向かう。 先輩の、背中。 すらりと伸びた長い手足。 「ま…待って、明衣さん!」