ぶぶ…と唸った携帯をさっと手に取り、画面を見る。 朝までに溜まったメールは5件。順番にそれを繰る。 後輩。 中学の連れ。 カラオケの誘い。 連れの女。 それから、先輩。 「…明衣さん」 思わず口にした名前に睦月は表情をふっと緩めた。 宮本明衣(みやもとめい)。 俺よりひとつ上の先輩。この春に中退していて、今は鳶職(とびしょく)をしながら定時制高校に通っている。