「ど、どうしたんだ?いきなり」 困った表情の楠木さんは俺にたずねた。 「…そ…それっ」 「え?」 なんにも言えずに、俺がただ指さした方に手をやる。 「な……なんだ、これ」 手でその『耳』に触れながら楠木さんは嘆いた。 「俺にもわかんないス、さっきはなんにもだったのにっ」 あぁ、何故か俺まで泣きたくなってきた。 「さっき見たら、なんか、その……耳、が」