普段は七海が歌うパートをなぞる伸びやかな声。水色のベースが刻むのは穏やかかつ荘厳なビート。 リズムが停止する。 幸弘が、声をかけようと足を踏み出した。 「さく……」 決して広くはない部屋に足音が浮かんで消えた。