「え…」 「ここにいるのは、ちゃんと俺だよ」 何を言っているんだろう? 顔を見ずにベースの音を聞けば、そりゃあ確かにわかるさ。 朔良の『音』が解らないハズ、ないだろう。 別に疑ってなどいないのに。 「何言ってんの、さく」 「…そのまま受け取って、ゆき」 怒りとか、悲哀とか、なんだかよくわからない衝動。 それに突き動かされたままの俺は立ちあがる。 「開けるよ」