はっきり言って素晴らしいと思った。 普段の朔良のベーステクは目を見張るものがあるし、きっと国内でも有数のベーシストだろう。だが、まるで別人のような旋律だった。 しかし確かにすりガラスのドアの向こうから聞こえていた、そのメロディー。 「なぁ……ゆき」 朔良は蚊のなくような声で呟く。 「何、さく」 「ちゃんと俺だよ」