「は?」 朝の5時と言えば朝一番のニュース速報が入る時間だ。 歯を磨きながらテレビから流れ、通り過ぎた言葉に、その青年――山口立稀は思わず耳を疑った。 「リツ兄ちゃん、邪魔」 基本的に早起きな山口家は、大抵この時間には皆既に起きていた。 ぐっと肩口を無理やり押し込みながら、中学生の妹・光稀が洗面所に入ってくる。