「お前にくっついてりゃ良かったのにな、ムツ」




そう言って俺の頭を撫でながら、これのこと!と、反対の手で「耳」を指差して明衣さんは笑った。
「明衣さん……?」

不思議そうな顔をしてしまう俺の頭を撫でる手は止まらない。


明衣さんはよく俺の頭を撫でるけど、それは、なんつーか、ぽんぽん!って感じで。


「(“よしよし”は…初めてだ)」

それこそ、まるで女みたいなことを考える自分を、何故か馬鹿らしいとは思わない俺。
……ホント、どんだけ明衣さん好きなんだって話だ。




俺がそんなことを考えているなんて知る由は毛頭ない明衣さんが、にやっと悪戯っぽく笑って言った。




「お前に猫耳ついてる方がさ、どう考えても可愛いだろ?」




俺のアタマの中の回路は、明衣さんの一言で以てして呆気なくふっ飛ばされた。



身体中が熱を帯びる。

血液が沸騰していく。