好きです、と吐き出すように言いながら。 溢れる気持ちをどうにもできない俺は、勢いそのままに楠木さんの手をぐんっと引いた。 戸惑いを隠せない俺の腕の中で、楠木さんがどんな表情(かお)をしてるのかはわからない。確かめる勇気も無い――……だけど。 俺の頬をくすぐる柔らかい黒髪と、視界の真ん中で、ゆらゆらと左右に揺れる楠木さんの尻尾が――― ―――確かに、答えをくれた気がした。