さて、体育館に行こう。 山口立稀は立ち上がった。 県立伊部高校に入学して早2年。特別勉強に秀でているわけではないが、それなりに充実している。 「…だるー……」 だが、課された体育委員だけはどうしても面倒くさい。体育館横の教官室にまで、授業内容の予定を見に行かなくてはいけないのだ。 けれど仕事は仕事。 それを投げ出すようでは、弟や妹に示しがつかないからだ。 責任感というものは、立稀にとって最重要事項である。