ありがとうを今キミに







「……えっ?誰?」

突然の俺の声に驚いて鬼姫は勢いよく俺の方を見た。




「お前鬼姫なんだろ?隼人さんの妹の」


俺がそう訪ねると「そうだけど……」と答えてどうして知ってるの?みたいな顔で俺を見てきた。


やっぱ俺のこと覚えてねぇんだなと思ったら少し悲しかった。


「何で隼人さんを知ってるかって?」

「――っ!!」


今度はなんでわかったの?みたいな顔をして俺を見てくる

コイツおもしれぇ


「俺“黒蝶”の総長やってんだ。隼人さんの跡を継いだ、だから知ってる」


「そっか、アンタ…名前は?」


「菅原陽向」


「そ、じゃあね」


アイツは俺の名前を聞いて屋上の扉の方へ歩きだした。


「逃げんな」


俺は無意識のうちにそう言って腕をつかんでいた


「離せよ!!」


「“Butterfly”救えんのはお前だけだ、助けに行ってこい」


「何も知らねーくせグチグチうっせぇんだよ!!ほっとけや!!」


アイツは勢いよく俺の腕を払い屋上を飛び出していった