そう思ったあたしは、逃げようとした。
家はすぐそこ。
はやく家の中に入ろう。
そう思っていた。
そして晃の家の前まできた。
あとちょっと…
でも、あたしはさっき走りすぎたせいで、足がうまく前に進まず、スピードは遅くなっていった。
やばい…晃近づいてきてる…。あ、着いた!
早く中に入らな「待てよ!」
あたしがドアノブに手をかけたとき、晃があたしの腕を掴んだ。
「はぁ、…はぁ…お前、足速すぎだろ…。」
晃は肩で息をしている。
そんなに急いできたの…?
「は、離してよ!」
嫌われてるのは分かってるんだから…。
「お前…なんで嘘ついてんだよ。バレバレだから。」
「…離して…。」
わかってるから、突き放すような言葉は言わないで…。
「こんなに濡れやがって…。風邪引いたらどうすんだ?」
「あ、晃だって…。」
「俺はいいんだよ。それよりおま…「離して!!」
「…千裕…?」
お願い…そんな心配そうな顔しないで…期待したくないの…。
「あたしに関わらないで!…あたしのこと嫌いなんでしょ?
いつも傘忘れてきて、ウザイとか思ってたんでしょ?
ホントは…あたしなんか…
どーでもよかったんでしょ!!」
「…………。」
晃は黙ったままだった。
ほらね?やっぱりあたしのことが…「好きだよ。」
へ……?
あたしは俯いていた顔を上げた。
そこには笑ってるけど少し悲しげな晃の顔があった。
なんで…そんな顔するの…?
