人影もまばら

昼下がり、街角喫茶



私はつばの大きな帽子を目深にかぶって
何もかも 彼以外を 拒絶シャットアウト


目立たない 角のテーブル席



店内には
バニラの香りの紫煙が舞ってる


彼が静かに立っていく


ただ ただ 別れの言葉もなく
私は目で追いかけるだけ



そのあとに涙と一緒に飲む珈琲は
少しの塩気と寂しさが入り混じるほろ苦さ




ああ

私、また泣いているのね



わかっているのに
わかってると思っているのに