「発砲事件の時も水攻め事件の時も、苫利先輩、犯人に捕まっちゃって大変だったのに」

「そう。あれは酷かったよな。俺がやっとで犯人のアジト見つけたのに、捕まっちゃって、結局先輩達が犯人逮捕したんだよな」

「あと、どら焼き爆破事件もありましたねぇ」

「あれは、大山先輩が、俺の作業に横やり入れたから、手元が狂って、タイマーが作動しちゃったんだよ。俺に任せとけば、何事もなく終ったのにさぁ」

「残り3秒で苫利先輩逃げましたよね。大山先輩が停止させてくれましたよね」

「に、逃げたんじゃないよ。言ったろ?譲ったんだよ」


……譲った(-.-;)?


「……そうですよね。逃げるわけないですよね」

「そ、そうだよ。お、俺が逃げるわけないじゃん。ヤ、ヤダナァ欄ちゃん」

「すみませぇん(^O^)あ!逃げるで思い出しました。アレ、あの事件も酷かったですよねぇ。蒲焼き事件!」

「蒲焼き事件?」

「ほら、鰻屋さんで無銭飲食した男、捕まえようとして、逆に犯人に間違えられたじゃないですか」

「……最悪だったな。どう見ても、犯人に見えないよな」

「しばらく 店主と高遠先輩と3人で話してましたよね。何の話ししてたんですか?」

「まぁ、いろいろな」

「あ、苫利先輩、そこ右で車止めて下さい」

「OK」

苫利先輩は、車を右に曲がらせ、停止させた。

「裏から聞こえたみたいですよ」

大山先輩が、言うには、男女の言い争いの声と女性の助けてと、叫ぶ声が聞こえたらしいから、確認してこい。

との事だった。

それを、苫利先輩は、大山先輩が電話に出たんだから、大山先輩が確認しに行けばいいと主張しているのだ。

場所は、狭い路地に入り、1階が居酒屋ミサと看板が出て、2階が住居になっているようだった。

「ありましたよ。ミサ。どうします?」

あたしは、わざと苫利先輩を見た。

「どうしますって。欄ちゃん、調べろよ」

苫利先輩は、やる気のなさそうに、さっさとドア叩いて、と、目線をあたしに向けた。