「ねぇ知ってる?この前、美保が別れた話ししたじゃん。アレって、実際は、付き合ってなかったらしいよ」

「え?マジ?!付き合ってないのに、美保、彼女面してたの?ありえなくない?」

「なんかぁ、ご飯食べたり、デートとかしてたらしいんだけど、ちゃんと、付き合ってって、告白されたことはなかったみたい。美保しつこいじゃん、で、何か言ったら、彼女でもないのに彼女面すんな。って、言われたらしいよ」

「え~。告白されてないの?」

「好き。とか、愛してる。とかは、あったみたいよ」

「セックスは?」

「そりゃ、してんじゃないの?美保だよ」

「でも、付き合ってないんだ。それじゃ、ただのセフレじゃん」

「だよねぇ」

あたしの、後ろの席の、女の子の会話が聞こえてきた。

あたしは、聞こえないフリをしながら、耳がダンボになっていた。


付き合おうって、言われない限り、付き合ってることにならないの?


……どうしよう(-.-;)


あたし……。


大山先輩に……(>_<)


付き合ってって、言われてないよぉ~(:_;)


こんな会話を、お昼の食堂で、聞いてしまった。

午後からの、外回りのテンションが、一気に下がった。


好きって、言ってくれただけじゃ、ダメなの?


恋愛から遠ざかっていたら、いつの間に、そんな制度が……(__)


大山先輩が、付き合おう、なんて……言うわけないよぉ(:_;)


「欄ちゃん、話し、聞いてる?」

苫利先輩が、話しかけてきていたことさえも、気付かないでいた。

「す、すみません!何ですか?」

「なんだよ、ボーッとして、どうかした?」

「いえ。何でもありません。すみませんでした」

最近の苫利先輩は、本庁の研修から帰って来たら、仕事に対しての姿勢が以前とは変わっていた。

先輩達に、使われているのは変わらなかったけど。


「だいたいにしてふざけてるってんだよ!」

苫利先輩の口調がとがっていた。

「え?」

あたしは、苫利先輩に聞き返した。

「先輩達さ」

「…………」

最近の苫利先輩は、仕事を選びたいらしい。