「大丈夫?」
高崎さんは 猛スピードで自転車をこいだ
アタシはただただ高崎さんの背中にしがみついていた
「ここまで来れば大丈夫だよ…」
止まった所は 高崎さんの雑貨屋の前だった
「本当に大丈夫?」
アタシの手や足がガクガク震えて止まらなかった
「これでくるまって中に入ったほうがいいよ」
高崎さんは店から毛布を出してきて アタシの背中にかけてくれた
アタシは自転車から降りたけど 足がガクガクして立ち上がれない
「女の人はひとりであんな所に居ちゃダメだよ」
高崎さんはアタシを軽々とお姫様抱っこした
「あ あの重たいから降ろして下さい」
店の中のソファにアタシをゆっくり座らせた
「ありがとう…ございます」
「これでも飲んで」
温かいコーヒーの入ったカップをアタシの両手に持たせてくれ 足元に暖房をかけた
「少し落ち着くまで ここにいたら良いよ」
高崎さんは優しく微笑んで 店の奥に入っていった



