クラスに入ると いつものように女達が男の話しをしていた
「ねえ知ってる?川島先生ってやっぱり彼女いるんだって…」
「川島って?どっちの?誠二の方じゃないよね?」
「誠二に決まってんじゃん!ジジィの川島は結婚してんじゃん…」
「やっぱり…昨日の話しはマジだったんだ… マジショック」
「でね?もっとスゴイのが彼女 この学校の娘なんだって」
「マジで!?」
アタシの後ろの2人が誠二の噂をする
「ねえ三上さん 彼氏ってみんな年上なんだよね?」
「…そうだけど」
「昨日 赤の車で迎えに来てた人も そうなの?」
「まあ…いちお」
「そうなんだ」
社交辞令のように話し掛けてくる
なんだか ムカつく
キンコーンカンコーン キンコーンカンコーン
「おーい 席につけよ」
遠くから誠二の声が聞こえてくる
そっか 今日の1時限目は誠二の授業だったんだ…
「おはよー じゃあ授業始めるぞ…」
アタシは両手で頬杖をついて 誠二の顔を見つめていた
誠二はアタシと目を合わさない
トントン
後ろから 小さな紙切れが送られてきた
“三上さんへ”って書かれてある
“三上さんの彼氏のひとりって川島誠二でしょ?”
アタシはドキッとしなかったと言ったら嘘になるけど あまり何も感じなかった
“川島誠二?妻子持ちに興味ないから…”
と書いて 後ろの子に
「返していって」と伝えた
それから1・2分して
「先生~!」
と 誰かが誠二を呼んだ
「どうした木下?」
「先生って結婚してるんですか?」
「まあ…いてもおかしくないだろな 俺ぐらいの年になれば…
なんだったら 木下…お前が嫁に来るか?」
冗談で言ってるけど 顔は笑わず アタシを一瞬睨んだ



