家の玄関の前まで行くと 相変わらずの怒声が聞こえた
ここ何年 ずっと毎日この調子だ
玄関を開けると
「また あの女の所に行くんでしょ!」
「オマエには関係ない!」
「どうして どうしてあの女なの!」
「オマエみたいに いつも疲れた顔してないからな…」
「なんで!なんで私と結婚した?」
「分かってるだろ!」
「私のお腹の中に鈴が出来たから!それにあの女には家庭があったから!」
母親の泣き叫ぶ声と 父親の半ばあきらめのついた怒声
アタシは何も言わず 自分の部屋に上り 携帯にイヤホンを付けダウンロードしていた曲を聴いた
それでも一階からは 2人の 罵り合う声が微かに聞こえた



