拓海と待ち合わせをしている公園まで 歩いて10分
その間 携帯の着信履歴とメールを見た
着信履歴は全部 太一だった
メールもほとんどが太一だった
〈愛してる〉
〈鈴…愛してる〉
〈鈴…他の男と別れて 俺ひとりの鈴になって欲しい〉
〈鈴がいないとダメなんだ…〉
太一からのメールには 愛してる…とたくさん綴られていた
その中には誠二からのメールも入っていた
―鈴
明日の放課後 会いたいんだ…
いつもの部室で 待ってる―
携帯にひと雫 雨が 落ちた
「雨だ…」
アタシは駆け足で拓海の元に向かった
拓海は 公園の出入り口の石に座って 煙草を吸っていた
「おっそいぞ~」
「ごめん 雨降ってきたから…早くどこか行こうよ」
拓海とアタシは 雨がパラパラと降り出した街を 走った



