「鈴…大丈夫か?
…歩ける?ほら 乗って」
もう前が見えない…
最近 アタシ泣いてばっかだ
アタシは 誠二に言われるがまま 誠二の背中にしがみつく
「鈴らしくないなあ
俺は鈴の事何も知らなかった… 鈴のクラスの子達に聞いたら 鈴にはたくさん彼氏がいるって…ひどいヤツはセフレがたくさんいるって言ってたぞ…」
誠二はアタシをおんぶしたまま すたすた早歩きで歩く
誠二の背中は アタシの涙と鼻水でグシャグシャだ
「ごめん…誠二の背中汚れちゃった…」
「背中ぐらい いつでも貸してやる 泣きたい時は泣け」
そう言われると 止まりそうになっていた涙がまた溢れ出していた
「鈴…あれはお前の彼氏じゃないのか?」
見ると 反対側の車線には 赤い車がゆっくりと走っている
太一…
太一は 悲しげな瞳をして アタシを見ていた
「ご、ごめん… 誠二降ろして…」
「ダメだ 今ここで鈴を降ろしたら…お前は行ってしまうだろ」
「お願いだから…降ろして」
「ダメだ!」
アタシは誠二の背中で バタバタ暴れて背中を叩いてみたりするけど 鍛えられた男の力には勝てない
太一が見てる
「降ろして!」
赤い車は 過ぎて行く



