「メッツとかルーブルって海外でしょ?!すごい!橘さんって海外を回る仕事してんだ」

美大時代にルーブル美術館は行った事があるけど、やっぱり反対側の国になるとご無沙汰とかそういう次元では無いはずだ。

「輸入したりするお仕事ですか?」

「何かいきなり限定的だな茜は・・・」

青山君の意見は尤もだと頷いてしまえば

「輸入もするかな?だけど俺のもっぱらの仕事は営業だな」

「大手ですね」

「笑顔ひとつで東へ西へ。実は家に帰るのも久々だったりする」

「大手過ぎるのも問題っすね」

「実は息子に会うのも3ヶ月ぶりだったりする」

30代には見えないのにお子さん居るなんて、もっとマメに帰ってあげて欲しいねと皆で視線で訴えてしまい、すっかりしんみりとした空気の合い間を縫って橘さんは右や左と指示を出しながら郊外へと向った。