まるで運命共同体のような言葉と、陽気に振舞う仕種がおかしくて

「そうだね。また1から始めればいいんだもんね」

失くすのは慣れたとは言いがたい。だけど、私には捨てられないものがある。
どんなどん底に突き落とされたって手放せなかった「絵を描く」と言う事が今も続けられているのだ。
これからどんな事があったって描き続けられると強く頷き

「じゃあ、橘さんに近いうちにここに引っ越すって事で話しを進めよう」
「うん」

気合を込めて頷き、テレビを見ていた橘さんに明日から引越しを始める旨を伝え

「満足行く仕事が出来るか判らないけど、俺達ここでがんばらせてください」

揃って頭を下げた俺達に橘さんはまるで高級な猫のようにソファに寝転び

「こちらこそよろしく」

ただ一言ニッコリと微笑んだ彼はそのまま立ち上がり、キーリングケースからこの家のキーを外して差し出してくれた。