ワインを飲んでごきげんな彼とは別に、やっぱり失恋のショックを引き摺っている青山君の力なく歩く隣を様子を窺いながら歩けば、そう遠くは無いところに灯りを見つけた。

「あのお宅が一番のご近所さんですか?」

何とか青山君の意識を別の方へと向けようと話題を振れば、程よくアルコールに酔っている橘さんはくるりとターンをしながら灯りを探し、

「ああ、アレか。明日には紹介するけど、息子の凪が住んでいるんだ」