11月も終わりを告げる頃になると4時をすぎれば陽もビルの陰に隠れ、賑やかな人通りも足を止めるものなどなく足早に去っていくだけとなる。
駅のロータリーには同じように銀細工や手作りのアクセサリーを売ってる常連の顔は煙草をふかしながらライトアップの準備をしていた。
だけど、週末だけ売りに来ている私達にはそんな準備もなく

「そろそろ寒くなったから上がるか?」

「もう上がる!寒くって指が動かないよぉ」

ほらぁ、と言って血色の悪くなった指先を一生懸命動かしながら、出店の出店者登録もしてある青山君に茜ちゃんが半ばやつあたりの様に訴える。