夕日が差し込む教室。
アタシの右手の親指は、ケータイの決定ボタンに置かれている。
”バイバイ”
その気持ちも一緒に届くように、ゆっくりとボタンを押した。
”送信完了”
その言葉が書かれた画面を見て、心が急に軽くなった気がした。
――――――秋武 つばさ。中学1年生の冬。
初めてできた彼氏の存在に、別れを告げた。
勘違いだったんだ。
そう気付いたのは付き合って5日目のことだった。
12月上旬。
ある男友達に、あたしの事を好きな男子が居ることを聞いた。
――――――斉谷 ゆうじ。彼がその男子だった。
「もし告白されたら…付き合う?」
そう聞かれて、あたしは迷った。
初めてだったんだ。好きとか言ってもらえたのは。
そのせいか、浮かれている自分が居た。
そして、ゆうじのことが気になり始めた。
その時は、自分はゆうじのことが好きなんだって、
本気で思っていた。
でも、違ったんだ。
好きだということを聞いてから、2週間ほど経ってからだった。
あたしはゆうじに告白された。
その日からあたしたちは付き合いだした。
12月11日のことだった。
