雨上がりの曇空から、未だ太陽は現れなくて。


私はそんな空を見上げながら、その先には違う物を見ていた。



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ある日、ある二つの存在は、またある一つの者に永遠の距離を与えられてしまいました。




手が届かない。



想う気持ちさえ届かない。




二人は嘆き、涙は枯れ、笑顔は消え…変わり果てました。







そして、身も精神も…朽ち…変わり果てた二人は、―――――御互いの存在さえも忘却してしまったのでした。






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幼い頃に、私が聞いたこのお話がふっと頭の奥を過ぎり。



雨が上がったばかりの、シットリ濡れた芝生に寝そべっていたせいか。少しばかり冷たいのだけれど。






「太陽と月…か……」




重苦しい雨雲にソッと手を伸ばしてみた。






掴めないのに。





触れられないのに。






まるでこの空はあの人みたいだった。