「ここ座ってもいい?」



そう言って彼女は、

あたしの向かい側の

席を指差す。



「あ、どうぞっ」



この人、

いつからここに

いたのかな。


しかめっ面で

周りの会話に

耳を立ててるあたし、

変だったんだろうな。



「わー///」



そう思うと、

ちょっと恥ずかしくなって

頬に手を当てた。

変な声まで出して。


そんなあたしをみて、

彼女はクスリと笑う。



「あは、思ってた通り。
天宮さんって可愛い」


「え///」



初対面の人に

褒められるなんて、

お世辞でもうれしい。


あれ、初対面…?



「どうして、
あたしの名前を
知ってるんですか?」



あたしはこの白鳥学園に

転入してきたばかりの

一般人。


この超お金持ち学園は

クラスがランク別になっていて、

生徒のほとんどが

大企業の社長の子とか、

すごい人ばかり。


だから、

中心は授業じゃなくて

パーティーや舞踏会や

経済学など社交的なことが

中心。


で、

今までのあたしの一週間は、

寮の生活に慣れるための
お試し期間。


あたしが授業に出るのは

明日から。


ここの生徒と会話だって

まだしてないのに。


どうして転校生のあたしを

知ってるんだろ。



「だって天宮さん、
噂の転入生なんだもん。
みんな興味津々だよ」


「えっ?
噂になってたんだ」


「うん。
めっちゃ可愛い子が来るって、
男子が盛り上がってたし。
噂どおり可愛いから、
すぐ天宮さんだって分かったよ」



それ、

あたしじゃないと

思うけどなぁ…


あたしが苦笑いすると、

彼女はまた笑った。






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