「キャーッ///」
…っ!?
なんだなんだっ
あたしが走って
向かっている先に、
急に人だかりが
できた。
人だかりっていうか
むしろ女子の大群。
黄色い声。
「きゃあっ!
陸さまと直さまよぉっ」
「今日も素敵ですわっ」
なんで
桜井陸に人だかりが!?
まさか…
女子に人気!?
確かに見た目は
すごくかっこいいけど、
中身はまだ知らない。
あたしは人だかりの
目の前で止まる。
群の中に
入っていくような
勇気はないよ。
ポケットの中に
手を入れて
シルバーの鎖を
握りしめた。
「でも…
渡さなきゃ」
きっと困ってる
きっと困ってる!
ちょっと
歯を食いしばったのが
あたしの足を
前へと進めた。
「えいっ」
もう突進。
.

