「結衣…どうしてっ!?」
「ん。何が?」
「…何がって、
今の明らかに
嫌がらせされたんだよ!?」
菜子は、
目を見開いて
ただただ
驚いている。
「でも、
うっかりって
いってたよ。
謝ってくれたしっ」
うん、そうだよ。
疑ったらだめ。
なんていってるけど
さっき、本当は
ちょっと怖かったよ。
「結衣って…
鈍感っていうか
天然っていいか…」
「あ!!」
菜子の言葉、
この瞬間に
あたしの耳には
半分も届かなかった。
あたしの目線の
すぐ先
食堂の入り口から
入って来る人影に
見つけた。
「菜子、
あたし見つけた!」
「あ、やっぱり誰か
探してたんだね。
誰?」
あたしは
勢い良く席を立つ。
見失っちゃうよ。
「誰って、
…桜井陸っ!」
「は!?え、本気!?」
菜子の言葉を
聞く前に
あたしはもう
走っていたんだ。
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