*王子さまの甘い誘惑*




「天宮さん」


「…はい」


「俺のこと
知ってる?」


「は…」



無意識に

彼の方に

顔を向ける。



知ってるわけ

ないんだけどな。


彼は

あたしの様子を

察して言う。



「桜井陸(サクライ・リク)、
一年。」


「一年生!?」


「そ。
天宮さんと同級生」



彼はそれから

立ち上がった。


驚いているあたしに

桜井陸は

手を差し出す。



「……。」



その手をじっと

見つめるあたし。



この右手、何?





.