『それから私は職を辞した。

彼女の死はある意味
事故だったのかも知れない…。

しかし、あのまま仕事を
続ける気力は私には残されては
いなかった。

彼女を忘れた事は一度も無い。

だが、忌まわしい記憶から
逃れる為にデトロイトを出て
今のオフィスがある
ジャクソンビルに移り住んだ。


私は逃げたんだ!


彼女が最期に
「助けてあげてね…」
そう託して逝った少年を
見捨てたんだ!


ターニャ…。

最初にオフィスに君が訪ねて
来た日、私は君が彼女の再来
なんじゃないかと思った。

髪の色、時々見せる穏やかな
微笑み…

再来じゃ無くとも、このまま
君を見捨てたら…
二度と私は立ち直る事は
出来ないだろう…。


君が犠牲者の家族や、残された
者の事を思うのと同じ様に

君を見捨てる事は
出来ないんだ。』