『アリガト♪

貴方が一緒だと直ぐに
素性がバレてしまうし、

私は‥ヴァンパイア‥
この言い方は好きじゃ
ないけれど‥

彼等に紛れても私なら
疑われる心配は無いわ。

貴方は離れた場所で待機
していて。

もしもの時は、私に
構わず逃げるのよ。』

『そんな事、
出来る訳ないだろ!』

『大丈夫よ。
ヘマはしないわ‥。』

髪を纏め、ピンで留めながら
言う‥


彼女は何を言おうと実行する
つもりだ。


『さあ、出来たわ♪』

窓に映り込むシルエットを
姿見代わりにドレスの正面や
背中を映して確認しながら
まるでこれからパーティーに
でも出掛けるかの様に仕度が
整った事を私に告げた。

女ってヤツは、いざという時
大胆かつ強くなるものなのだ。

彼女が探偵ならば男顔負けの
腕利きになっていたに
違いない。


数時間後、
レンタカーのトランクに
散弾銃とワインの薬莢、

そして、
もう一つのものを積む‥

ダッシュボードにも
ワイン弾の銃を一丁
忍ばせた。


精一杯の完全武装だ!


助手席に美しく着飾った
ターニャを乗せると、

レンタカーは倉庫の場所へと
向かった。